医科歯科連携について

医科歯科連携とは

医科歯科連携とは、医科と歯科が協力して患者様の傷病の治療にあたることを言います。
「銀歯が外れた」「歯が痛い」などの症状には複数の原因があります。当医院では原因をしっかりと把握し、高度な医療を提供し、再治療を繰り返さないための診療をおこなっております。そうすることで、様々な傷病に対し総合的に治療をすることができ、医療の向上が図れます。
病院での治療と、歯科での治療を組み合わせることで、様々な病気の治療効果が高まり、入院日数を短くできることもあります。
また、治療が終わったらそこで終わりではなく定期検診を通し長期の経過を診る中で口腔内だけではなく問診などを通し全身の変化がないかも診ております。
中度から重度の歯周病の患者さんの実績も多く、口腔機能の管理にも力を入れております。
口内環境を整えたら、しっかりと食事をとることができるようになるため、食事で栄養がとりやすくなり、免疫力がアップし、生活の質の向上(QOL)につながります。

QOLとは?

「QOL(キューオーエル)」は、「Quality Of Life」の略です。『人生の質』『生活の質』『生命の質』にまたがった主観的な評価をさす用語です。生きがいをもってより良く生きること、毎日が充実し心身が満たされた生活を理想とすることを意味します。

医科と歯科に関係ある病気は?

狭心症・心筋梗塞

動脈硬化によって心筋に血液を送る血管が狭くなったり、塞がったりすることで心筋に血液供給がなくなってしまい、最悪の場合、死に至ることもある病気です。動脈硬化は、偏った食生活や運動不足、ストレス等の生活習慣が原因とされていましたが、それとは別に、歯周病原因菌等の細菌感染も関係しています。歯周病菌等の刺激によって動脈硬化を誘導する物質が出ることで、血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)ができてしまい、血液の通り道が細くなります。プラークが剥がれて血の塊ができると、血管を詰まらせてしまいます。

脳梗塞

脳梗塞は、血管の中に入り込んだ歯周病菌等が、血管にプラークを作り、それが脳の血管に詰まることで起こります。歯周病の人は、健康な人に比べて2.8倍も脳梗塞になりやすいと言われています。血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は動脈疾患を予防するためにも、歯周病の予防、治療がより重要になります。

糖尿病

糖尿病は歯周病と深い関係にあります。歯周病になると血糖コントロールが悪くなります。逆に、糖尿病になれば歯周病になりやすくなります。
糖尿病になると、血糖値が高くなり、唾液の分泌量が減るため、口の中が渇いてしまいます。これによって、歯周病菌が口の中で増殖し、歯周病になりやすくなるのです。
逆に、歯周病になると、歯周病菌が口の中だけでなく、血管に入り込み血液で全身にめぐります。これが原因で、血糖値を安定させるホルモン、「インスリン」の働きが抑制されます。インスリンの働きが弱くなると血糖コントロールが悪くなり高血糖状態になります。この高血糖状態が糖尿病です。このように、「歯周病」と「糖尿病」には相互性があります。

腎臓疾患

腎臓には、体中の血液をろ過し、尿として体外に排出する機能があります。そのため、腎臓がうまく機能しなければ、体の中に常に老廃物がたまってしまいます。歯周病菌は、お口の中だけにとどまらず、血管に入り血液に乗ることで全身へめぐります。その結果、体全身に炎症性物質がいきわたり、体のいたるところで炎症が起きてしまいます。炎症性物質が腎臓にもいきわたることで腎臓がうまく機能しなくなり、腎臓疾患になってしまいます。

関節リウマチ

関節リウマチは、原因不明の多発性関節症であり、軟骨や骨の破壊、また、関節だけでなく、眼、肺、心臓、血管炎という体全身にも症状が現れます。関節リウマチの方は、歯周病になりやすく重症化しやすいです。
まず、関節リウマチと歯周病の原因や症状には多くの共通点があります。それは、どちらも同じように炎症性物質が関わっており、さらに、遺伝や、生活習慣が原因で発症するという点が共通しています。また、関節リウマチを発症すれば歯周病になりやすく、逆に、歯周病になれば関節リウマチになりやすいという相互性もあります。

低体重児早産

妊娠中の女性が歯周病の場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。これは、歯周病菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染してしまうのではないかと考えられているからです。その危険率は7倍にものぼると言われており、タバコ、アルコール、高齢出産等よりもはるかに高い数字です。
歯周病は予防も治療も可能です。生まれてくる大切な赤ちゃんのためにも、定期的に歯科医院で健診を行い、歯周病を予防しましょう。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は、食べ物や異物が誤って気管や肺に入ってしまうことで起こる肺炎です。そうなった場合、気管や肺は、咳をすることで異物が入らないよう守ろうとします。しかし、高齢になるにつれ、その機能が衰えるため、食べ物と一緒にお口の中の細菌も飲み込んでしまい、細菌が気管から肺の中へ入ることで誤嚥性肺炎を発症してしまいます。誤嚥性肺炎の大きな原因は、歯周病菌だと言われており、歯周病の予防がとても重要になります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、全身の骨密度が低下し、骨が脆くなる病気です。その中でも、閉経後骨粗鬆症は、骨代謝に関わるホルモンであるエストロゲン分泌の低下により発症します。閉経後骨粗鬆症で歯周病が進行しやすい原因として、エストロゲンの欠乏が1番にあげられます。エストロゲンの分泌が減少すると、全身の骨だけでなく歯を支える歯槽骨も脆くなります。また、歯周ポケット内では炎症を惹起する物質が産生され、歯周炎の進行が加速すると考えられています。

歯周病は、その他にも様々な病気と関係していますが、痛み等の症状がなく、自分で気づくことが難しいため、静かに進行していく恐ろしい病気です。歯科医院では、定期的な健診や、患者様ひとりひとりに合わせた正しいセルフケアの仕方をご提案しております。定期健診を受診し、お口の中を綺麗に保ち、病気を予防することで、健康に過ごしましょう!

当院での医科歯科連携の流れ

当院では最初に問診、診査をしっかり行い、口腔内だけでなく、全身状態や生活習慣の確認を行います。

  1. Step01事前予約

    当院は完全予約制となっております。

  2. Step02問診

    問診票をご記入いただき、その後問診票をもとに口腔内、全身状態、生活習慣について伺います。

  3. Step03診査

    マイクロスコープを用いて実際に口腔内の診査をします。
    それとは別に、初回は口腔内写真やレントゲンをお撮りする場合があります。

  4. Step04説明

    今の口腔内の状況をご説明し、ひとりひとりに合わせた正しいセルフケアや、治療の方法をご提案いたします。

  5. Step05歯科治療・医科紹介

    全身状態に問題がなければ、歯科治療をスタートします。
    何か問題があり、医科で確認した方が良い点がある場合、先に医科にご紹介させていただきます。
    医科と歯科で情報共有し、患者様の状態に合わせて最適な治療を行います。

オーラルフレイルと全身状態の大きな関わり

オーラルフレイルは全身の衰えや健康状態につながっており、オーラルフレイルの予防の重要性が注目されています。

  • だんだん硬い食べ物を噛めなくなった…。
  • 柔らかい食べ物ばかり食べている…。
  • 食べ物を飲み込むのが難しくなった…。
  • 滑舌が悪くなった…。

当てはまる方は、オーラルフレイルかもしれません。

オーラルフレイルとは?

オーラルフレイルとは、加齢による衰えの1つで、噛んだり飲み込んだりする機能が低下したり、滑舌が悪くなったりする等、口に関連する機能が低下してしまう状態のことです。
オーラルフレイルの始まりは、食事中にむせることが増える、硬い食品が噛めなくなる、滑舌が悪くなる等があげられますが、この状態をずっと放置していると、嚥下障害、構音障害等、様々な身体的、社会的な障害を引き起こしてしまいます。そのため、オーラルフレイルの発症の予防と共に、オーラルフレイルの兆候が見られたときに、早い段階で適切な対処を行っていくことが大切です。

口腔機能低下症

ささいな口の衰えをオーラルフレイルと呼びますが、進行すると口腔機能低下症と呼ばれる疾患になります。
口腔機能が低下すると、次の症状が見られるようになります。

  • 口の中が汚れる(口腔不潔)
  • 口の中が乾く(口腔乾燥)
  • 滑舌が悪くなった、食べこぼすようになった(舌口唇運動低下)
  • 食べ物が口に残るようになった(咬合力低下)
  • 薬を飲みにくくなった(低舌圧)
  • 硬いものが食べにくくなった(咀嚼機能低下)
  • 食事の時にむせるようになった(嚥下機能低下)

3項目以上に該当する場合は、口腔機能低下症と診断され、歯科での対応が必要となります。
保険適用によって歯科治療やトレーニングを受けることができます。
口腔機能低下症を放置しておくと、「摂食嚥下障害」等、さらに重い口腔機能障害を引き起こし、全身の健康に関わる問題になってしまうこともあります。
毎日の口腔ケアでしっかりと予防するとともに、気になる症状があれば早めに歯科医院に相談しましょう。

当院での口腔機能検査

口腔機能検査とは?

口腔機能検査では、専用の器具等を使用し、オーラルフレイル、口腔機能低下症の症状がないか検査します。

骨粗鬆症

口腔乾燥症(ドライマウス)は、唾液の分泌が減少、分泌されなくなることで口の中が乾燥する症状です。唾液が少なくなると、口の中がネバネバする、ヒリヒリすることがあります。また、プラークが増加し、虫歯なりやすく、口臭も強くなってしまいます。
口腔乾燥測定では、ムーカスという測定器に使い捨てのカバーをつけ、ムーカスを舌に当て、水分量をはかることで約2秒で口腔乾燥を測定します。

舌圧測定

舌圧とは、舌と口蓋の間で食べ物を押しつぶす力のことで、食べ物を飲み込む際に舌がしっかり上に上がらないとうまく飲み込むことができず、むせやすくなります。
低舌圧の場合、食べ物を飲み込めないだけでなく、誤嚥性肺炎、滑舌が悪くなる、いびき、睡眠時無呼吸症候群等の原因にもなります。
舌圧測定では、舌圧プローブという使い捨ての物を測定器につなげ、舌圧プローブの丸い先端部分を舌で約7秒間押しつぶし、舌圧を測定します。最大舌圧が30kPa未満の場合、低舌圧と判定されています。

咀嚼力測定

咀嚼とは、お口の中に入った食べ物を噛むことです。
しっかり噛むことで脳を刺激し、体を動かす、バランスを取る骨格筋に影響を与えてくれます。咀嚼機能を低下させる大きな要因として、虫歯や歯周病による歯の喪失があります。特に、高齢の方は、残っている歯の本数が20本未満になると、うまく咀嚼できなくなり、骨格筋の動きが鈍くなり、転倒しやすくなることが分かっています。
咀嚼力測定では、グルコース含有グミ「グルコラム」を20秒間咀嚼した後、紙コップに吐き出します。吐き出した液を測定器のセンサーチップに点着することで、約6秒間で自動的にグルコース濃度が計測され、咀嚼力を簡単に測定できます。

 『食べる』とは、生きるために必要な栄養を取ることだけでなく、味を楽しむ、食事を通じて人とのコミュニケーションを楽しむ等、幸福を感じることができるもので、楽しく生きていく中でとても大切なことです。美味しい食べ物を食べ、満足し、得られた栄養素は体に取り込まれ、健康な身体を作ることができるため、仕事や趣味を楽しむ等のQOLを高めることにも繋がります。少しでも気になる症状等があれば、早めに健診をし、私たちと一緒に病気を予防していきましょう。

医療関係の方へ

医科歯科連携のご提案

日々診療をしていると、口腔内の疾患(虫歯や歯周病など)と全身疾患の繋がりを強く感じることがあります。

①虫歯

原因
糖類の頻回摂取や過剰摂取、
食生活の乱れ
疾患
高血糖 高血圧 など

②歯周病

原因
慢性的な炎症物質による
糖・脂質の代謝異常
疾患
糖尿病 高脂血症 など

③歯の喪失

原因
歯周病や歯を放置
治療を何度も繰り返す
疾患
咀嚼機能の低下から栄養不足や
カロリー過多に
フレイルや糖尿病の進行など

当医院では患者様の健康を口腔内だけではなく全身の健康も支えていきたいという思いから、ご協力いただける医療機関を探しています。
内科との連携(糖尿病と歯周病)、整形外科との連携(BP製剤と歯科)、耳鼻咽喉科との連携(上顎洞炎と感染根管、口腔機能の低下など)、産婦人科との連携(早産と歯周病)など医科と歯科が連携し双方からアプローチする事でより質の高い医療を提供することができます。

医科歯科連携のメリット

医療連携は、患者様にたくさんのメリットをもたらします。お口の健康と身体の健康は非常に深く関係しています。歯科と医科が連携して情報共有を行うことで、患者様に対して、より総合的な診療を提供することができるため、医療の質の向上につながります。

  • 情報共有をすることで、医療の提供がしやすくなる!
  • 一貫した医療を継続的に提供することができる!
  • 情報共有によって、無駄な投薬を防げる!
  • 共有した情報を活かし、地域医療の質を向上できる!
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